みなさんは恋愛を科学的に検証してみたことはありますか?恋愛は心などの感情だけでなく、脳も関わっていることが最近多くネットやテレビなどで取り上げられますね。
そんな中、アメリカの科学者であるヘレン・フィッシャーが恋しているのときの脳みそはどんなメカニズムをしているのか、ということを発表しました。これを今回は短時間で分かるように紹介します。
どんな研究をしたの?
熱愛中の37人をMRIスキャナーで検査するという実験を行いました。そのうち17人は現在も熱愛中で、15人は恋が終わった人たちです。また、他にも結婚生活を10年から25年経て今も熱愛中である5人の研究も行っています。
恋は実らないことの方が多い?
いつの時代も人間は愛の詩や物語を書き、伝えてきました。恋に焦がれ、恋のために生き、時には争うこともいといません。恋が存在しない世界はないといえます。
ただし、恋は常に幸せをもたらすものではありません。ある大学生が恋に関する質問を数多くし、その中でも印象的であったのが「愛する人に振られたことがありますか?」、「自分を愛する人を振ったことがありますか?」という2つの質問です。この質問に対し、約95%の男女が両方に「はい」と答えています。つまり、恋はほぼ実らず、悲しい思いをする回数の方が多いことがわかります。
恋愛は望みが低いほど燃える
脳と恋の狂気について研究されました。自然興奮剤であるドーパミンを作る細胞が、恋愛によって刺激されることがわかりました。これは欲望、やる気、集中力などに関係するものです。違法薬物であるコカインも同じ細胞を刺激するのですが、恋愛はこのコカインのハイの状態を上回るとされています。コカインであれば一時的ですが、恋愛は執着という心が人を支配する、とされています。そしてその執着心は振られると悪化する、ということからも恋は狂気であることがわかります。
振られて間もない人を研究してみると、脳の3つの領域に活動が見られました。そこは激しい恋愛をする時に活動が見られるところでした。皮肉にも、失恋したときは相手のことを忘れて暮らしていきたいのに、よりいっそう愛してしまうということです。
つまり、欲望、やる気、集中力などの脳の報酬系は、手に入らないとさらに活発になるということがわかりました。「望みが低いほど燃える」というのはこういったことだったのです。この場合の人生最大の報酬とは、最適な交配を行うパートナーのことです。
「恋愛=性欲」は間違い?
損得勘定に関する脳の領域についても研究されています。大きな利益を賭けて危険を冒すときも、同じ脳領域が活動します。他人への深い愛着と関連する脳の領域にも、同じような活動があったことがわかっています。
脳は報酬のために活動し、様々なリスクを冒す気力も出てきます。人生最大の報酬を得るためです。恋愛は自分を動かす動力であり、交配へのエネルギーであるが、性欲ではないということです。性交相手を探す範囲は広いが、恋愛だとそのターゲットは1回に1人であり、交配へのエネルギーを他の人に浪費せず、1人の相手と交配行為を行うということです。
人はなぜ恋に落ちるのか
なぜ人間は何人もいる人の中から、1人を選び、恋するのでしょうか。1人に恋する理由は無数にあります。心理学者も同様の意見でしょうが、その傾向として、同じ社会的背景や、経済的背景、同じ程度の知性、同じ程度の容姿や宗教的価値観などの一致が挙げられます。
生物学的に言うと、脳内のドーパミン、セロトニン、エストロゲン、テストステロンといった4つの物質が関連している可能性が高いということがわかってきました。これらの組み合わせや発生頻度によってタイプが異なってくるようです。
どうしたら良いの!
恋は様々な幸せも不幸も呼びこむものです。そんな中でどう私たちは恋と向き合っていけば良いかということに、ヘレンはパートナーをきちんと理解することが必要だと言っています。きちんとお互いに向き合うことができれば、良好な関係を続けていけるでしょう。